意外と知らない自動車メーカーのエンブレムの由来について、いくつかピックアップして書きたいと思います。
車名のDAIHATSUの頭文字から作られたエンブレム。1907年に発動機製造株式会社が設立され、1930年には大阪の”大”と発動機の”発”を合わせた『ダイハツ号』なる車を発売。その後ダイハツの愛称で呼ばれるようになり、1951年委社名をダイハツ工業株式会社と改めました。
ちなみに、かつての3輪トラックには大阪城をかたどったエンブレムが装着されていたこともあったようです。
1937年に豊田自動織機製作所から独立してトヨタ自動車工業株式会社が設立されました。かつては豊田の文字をエンブレムにしたものが存在しました。
トヨタのエンブレムが現在の形になったのは、1989年。内側のふたつの楕円の組み合わせはトヨタの”T"を表現していると同時に、ハンドルの形状を表現しており、外側の大きな楕円はトヨタをとりまくお客さんや世界を象徴しているとのこと。
ホンダ
1948年に創業し、自転車用補助エンジンの製造から2輪、4輪車製造へと発展していったホンダ。このエンブレムになったのは1980年代初め。創業者である本田宗一郎の「形うには丸・三角・四角の3つしかない」という考え方から輪郭は三味線をモチーフにした丸みと張りを持たせた四角にしたとのこと。これは、ホンダの4輪車用エンブレムとして使用されているが、その頂点ともいえるF1への復帰した時の車両にも採用されています。
1920年創立のマツダ。1931年には3輪トラックの『マツダ号DA型』の生産を始めています。かつては小文字のmを模したエンブレムを採用していたこともあったようです。
現在のマツダのエンブレムのモチーフは羽ばたく翼で、1997年にこのエンブレムへと変わっています。 これは、「自らをたゆまなく改変し続けることで、力強く、とどまることなく発展していく」というマツダ自身の決意の表れをエンブレム化したものと言われています。
1917年に日本初の量産乗用車『三菱A型』を製造開始した歴史あるメーカー。1960年委は『三菱500』で小型乗用車市場に参入。1970年に三菱自動車工業株式会社として独立。三菱のマークと言えば、グループ全て三つのひし形を組み合わせた赤い色をしたマークというイメージがありますね。自動車用のエンブレムはこのマークをシルバーにしたものが現在車両に取り付けられています。この三菱マークは創業した岩崎家の家紋『重ね三階菱』と土佐藩山内家の家紋『三ツ柏』を合わせたものとなっています。さすが三菱グループのマーク伝統あるものなのですね。
日産
丸い枠の中央に長方形を通し、そのなかに「NISSAN」という文字をあしらったシンプルなもので、円は天に昇る朝日(旭日昇天)を示しており、中央を貫く帯は「至誠」や「誠実」を示し、思いを貫けば道は開けるというメッセージを表しています。
2001年には、ルノー傘下になってからロゴおよび書体がより立体的なものに一新されました。
そして、2020年7月に新しい日産のエンブレムが登場。デザインが平面的になりました。現在の多くの自動車メーカー各社が進めている「2D化」の流れに沿ったものとなっております。主にスマートフォンなどの画面上であったり、様々な端末や媒体で表示する際にも「見えやすく」するためだといわれています。
2D化についてはロゴの変更を伴わなくても行っているメーカーがありますが、これは時代に合わせた対応という事でしょう。普遍的なものがある中にも、その時代に対応するべきことはきちんと対応していく。こういったエンブレムやロゴといった事についても気を配らなくては生き残れない時代が自動車メーカーにも訪れているという事でしょう。これから、自動車自体のエレクトリック化の時代が訪れようとしています。これからどのように変化していくのか楽しみでもありますが、日本の自動車メーカーはこの先も変わらず世界で愛され続けられるのだろうか、そして利益を出し続けられるのかという一抹の不安もあることは確かです。