花火大会の帰り道にて思う

花火大会の帰り道、家路につく車たちが車列をなしていた。

クルーズコントロールとは名ばかりの時速維持装置を作動させ、前の車と付かず離れず距離を保ちながら道がひらけるのを待っていた。

こんな時に、自動追従式のクルーズコントロールシステムが搭載されていれば楽なのにと思っても、そういった機能が装備されていないものはどうしようもない。

ある程度の距離を進んだところで、僕は峠を通るルートを選択した。峠と言っても急なカーブが連続するわけではなく、どちらかというとアップダウンの連続した道といった感じのルート。

やはりこちらの道はほとんど車がいない。花火大会後の疲れた体には、渋滞がひどくても明るい道を選んで帰るのが苦にならないのだろうかと思いながら、僕はスポーツモードに切り替えて、思いっきりアクセルを踏み込んだ。

僕の車は1,800ccターボのステーションワゴン。さすがに加速はもっさりとしていてかなり物足りない。しかし、スピードは普通に出るし、ロスなくコーナーを抜けてくれるのはさすがドイツ車の足回りといったところか。大したスピードではないが、その車重ゆえ、すこし怖さも感じた。

正直なところ、車は軽さが正義だと思わされた。

それでも窓をあけ、アクセルを全開にして、他に車がいない夜の道を走るのは、どこかで忘れてしまった若かりし頃の気持ちを少し思い出せた気がする。

全くうるささを感じさせないエキゾーストノートに物足りなさを感じるものの、久しぶりの走りに体の中が熱くなるのを覚えた。そんな体に、開け放った窓から流れ込んでくる、夏の終わりの少し冷たい風が逸った気持ちをクールダウンさせてくれる。

峠を抜け、少し開けた道路で再びクルーズコントロールをオンにする。そして窓から手を出す。手のひらに流れてくる空気が、心地よい感触となってまとわりつく。

深夜にはまだ少し早い時間だが、若者達がコンビニエンスストアの前にたむろして、夏の終わりの時間を惜しんでいるのだろうか。僕はコンビニエンスストアの前にたむろするという事をしなくなってから、随分と経った気がする。

インターチェンジの案内標識が見えたが、それをやり過ごし、もう少しこの余韻を楽しむことにする。

なんだか、久しぶりに深夜のコンビニの前に仲間とたむろしたくなってしまった衝動を抑え、冷たい缶コーヒーを流し込んだ。

 

 

貴方には、どんな車のストーリーがあるのでしょうか。

それぞれのカーライフに敬意を表して。